市場規模の停滞や倒産件数の増加が続く書籍関連業界において、
□□□□コーポレーションは「中古本のコンビニエンスストア」を
サービスコンセプトに、中古書店チェーンを全国展開し、大きな成長を遂げた。
近年は、書籍以外の中古品の販売、複合店の展開など多角化を進めるほか、
海外市場にも展開しつつある。
本稿では、□□□□コーポレーションの国内市場における
圧倒的な市場地位の確立に至る足跡をたどり、
今後の持続的な成長の可能性について
サービスマネジメントの視点から考える。
1. はじめに
yyyy年mm月dd日、□□□□コーポレーション(以下、□□□□)は、創業者で代表取締役社長の○○○○の後任に、○○○○常務を任命すると発表した。○○は短大卒業後nn年間専業主婦として2児を育て、yyyy年mm月、娘の学費の足しにとnn歳で□□□□1号店の開店時に時給nn円で働き始めた。nnカ月後にはパートのまま2号店の店長に抜擢され、○○とともに店舗運営に携わってきた。上場企業のトップにパート出身者が就くのは珍しかった。1)○○は現場管理の重要性を常に強調する経営者として知られていた。事実、同社幹部として企業経営に携わる一方、△△店の店長としてもレジに立ち続けていた。
□□□□を模倣する中古書店チェーンは数多く出現したが、yyyy年現在、同社の市場シェアはnn%を超え、依然としてトップの地位を維持していた。本やCD、ビデオ、DVDにとどまらず、婦人服、子ども服、玩具、スポーツ用品等にも中古品販売分野を拡大し、大型複合店を展開するようになっていた。「□□□□」の店舗数は、yyyy年mm月末現在、米国、カナダ、フランスの海外nn店舗を含むnn店舗であり、従業員数(パートタイマーを含む)は、□□□□本体で約nn人であった
〜〜中略〜〜yyyy年現在、海外には大きな中古書店チェーンはなかった。○○と△△は中古書店の海外展開を試みたが、すでに撤退していた。○○はCD、パソコン、楽器、子ども服、機械工具などの中古品ビジネスを手がけているミネアポリスの○○本社を訪れ、なぜ本を売らないのかと尋ねたところ、中古書の扱いが難しいからだという答えが返ってきた。
yyyy年、ニューヨークとロサンゼルスでは英語の本が総売上高のnn%、フランスではフランス語の本がnn%を占めていた。○○は米国とフランスでは現地人材を採用し、現地語の本だけを販売する店を展開したいと考えていた。日本では新刊書店は定価販売だったが、海外では値引き販売されており、独自の価格調査、価格決定が必要だった。しかし、現地語の中古本販売で成功すれば、日本人居住者が少ない都市にも出店できると期待できた。
また、
「当社は世界でオンリーワンでナンバーワンの企業になれるのです。現地の知識がないので、海外市場開拓にはコーヒーショップか新刊書店など現地企業との提携が必要でしょう」
と○○は自信を見せた。
7. 今後の展望
yyyy年nn月、会長の○○と社長の○○は、その未来戦略について長期的な視野から熟考を重ねていた。2人は□□□□をnn年にわたって存続する企業にするために、どの選択肢を追求すべきか決めなければならなかった。さらなる成長を実現し、収益性を維持するためには、どのように事業を拡張するべきであろうか。それは持続可能な戦略であろうか、拡大を阻害する要因があるとすれば何であろうか。そして、すでに確立したビジネスモデルをどの程度応用することができるのであろうか。
(文中敬称略)
東洋経済新報社
※このサンプルは検索結果のイメージです。