預金保険「可変料率」で中小金融機関は窮地
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金融界に地殻変動が起きようとしている。金融庁は現在一律となっている預金保険の保険料率について、金融機関の健全性により、保険料率に格差を付ける「可変料率」の導入に向け、水面下で検討に入った。可変料率が導入されれば、健全性に劣り、体力の弱い地銀以下の金融機関は打撃を受ける可能性がある。
「預金保険」はその名のとおり、預金にかかる保険のこと。金融機関が経営破綻した場合に、定期預金などの元本1千万円までとその利息を保護し、預金の払い出しを行うペイオフ制度の原資などになる。当座預金など利息の付かない「決済性預金」と定期預金などの「一般預金」で若干の差はあるものの、実効料率は1996年度以降、預金100円に付き0・084%の保険料率が続いてきた。つまり、金融機関は預金を受け入れると、1円に付き0・00084円の保険料(わかりやすく言えば、10万円の預金で84円の保険料)を預金保険機構に収める仕組みだ。
この保険料率について、監督官庁の金融庁では、「総務企画局の居戸利明審議官を中心に密かに可変料率の導入を検討している」(金融業界関係者)という。可変料率は、金融機関の健全性の度合いにより、保険料率に格差を付ける仕組み。米国、カナダ、フランス、台湾、香港、マレーシアなどの国々が可変料率制を導入している。メガバンク関係者によれば、金融庁が可変料率導入の検討を進めている背景には、「懸案となっていた日本振興銀行の破綻処理により、残る金融機関の健全性に問題がないこと。さらに、何よりも預金保険機構の財務内容が健全化した」ことがあるという。
預金保険機構では、96年から相次いだ金融機関の破綻処理のため、政府や一部民間金融機関からの借り入れ、政府保証付きの預金保険機構債の発行などで資金調達を行った結果、2002年度には責任準備金が4兆円を超える繰越欠損金となった。しかし、その後は金融機関からの保険料をベースに借入金などの返済が順調に進み、XX年X月末には繰越欠損金がなくなり、約3900億円の責任準備金を積めるようになる。
「これまでは借金返済のため、手堅い一律保険料率を通してきたが、繰越欠損金がなくなるX年X月以降は可変料率を導入したいと考えているようだ」(先のメガバンク関係者)
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